2018年09月24日

『はたらく魔王さま!19』

和ヶ原聡司 先生が贈る魔王と勇者の庶民派ファンタジー。第19巻はマグロナルドを離れ
受験勉強に専念するはずの“千穂”がエンテ・イスラの政情変化に巻き込まれていきます。
(イラスト:029 先生)

https://dengekibunko.jp/product/maousama/321805000012.html


制服も返して、いざ! という時に“鈴乃”に提示された辞令。“エメラダ”らの努力を
ふいにする情勢の動きを境に次々と“千穂”が仲介役を担わされるという不憫さには同情
せざるを得ません。ここに“アシエス”の異変が重なるというのだから泣きっ面に蜂で。

思わぬ重責を背負うことになり、見たくもなかった教会の真実を改めて目にした“鈴乃”。
懊悩する彼女の気持ちを救ったのが“真奥”なのは言うまでもないですが、性急に事が
動いた、という印象でした。挿絵から滲ませる表情がまた幸せそうで悩ましい展開です。

いつも通りの仕事しかしていない“真奥”を他所に“千穂”が新たな決意をもってあの
マグロナルド幡ヶ谷駅前店から動き始めていくその姿が凛々しい。それにしても今回は
色々な場面で連絡不備が続いて混迷しましたが、次巻以降でスッキリするか見ものです。

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2018年09月21日

『火焔の凶器 ─天久鷹央の事件カルテ─』

知念実希人 先生が贈る新感覚メディカル・ミステリー。長編シリーズ4冊目は陰陽師の
墓をあばいた研究者が次々と不審な死を遂げる呪いのような謎を“鷹央”が診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)

http://shinchobunko-nex.jp/books/180133.html


“室田”教授の話によると、陰陽師の歴史を紐解く上で重要とされる人物“蘆屋炎蔵”の
子孫を発見し、その墓に入った彼自身が体調を崩し残る2人も焼死したり、錯乱したりと
まるで呪いの仕業のよう。“炎蔵”に呪われたものは皆、焼死しているというのだが──。

“室田”と“碇”の容態が悪化した理由が“炎蔵”の墓にあるのは想像の範疇ではある
ものの、その後に起こる怪事件の数々、“内村”が焼死した理由がトンと見えてこない。
本当に最後の最後まで事件の真相、そして真犯人が分からなかったのはやきもきしました。

“小鳥遊”が研究メンバーの紅一点である“葵”との関係も上手く進められないあたりは
“鴻ノ池”の監視が厳しいだけではないような気もします。そんな彼が今回かなり窮地に
陥る破目になるので、それをどう回避するのか、といった点にも注目いただきたい所です。

posted by 秋野ソラ at 00:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年09月20日

『聞こえない君の歌声を、僕だけが知っている。』

松山剛 が贈る新作は、動画投稿サイトに上げられた「歌声だけがない歌う少女」の動画を
見たある青年が突然、彼女の声を聴けるようになることから始まる、切ない愛の物語です。
(イラスト/さけハラス 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-912117-9/


“永瀬”が悪友から勧められた「無声少女」の動画にすっかり嵌まってしまったある日、
なぜか自分だけ動画から歌声が聴こえた。幻聴かと疑いつつも歌詞を書き出してみると
ある場所に近い情景が含まれていることに気付く。彼は「無声少女」に逢えるのか──。

講義もすっ飛ばして“永瀬”が辿り着いた場所にいたのは“サクヤ”という女の子。でも
話がちぐはぐで彼女は「無声少女」ではないらしい、という所からあれよあれよと2人の
未来に、更には人生観に迫っていく設定と展開が絶妙で結末からは切なさと愛が溢れます。

ロストナンバーで上げられた曲のタイトルが物語における色々な要素を含んでいたのだと
読み返してみて分かります。“永瀬”が、“サクヤ”が、そして「無声少女」がそれぞれ
想うこと、願うことの顛末をどうか見届けてあげてほしい。そう思えるお薦めの一作です。

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2018年09月19日

『キミの忘れかたを教えて』

あまさきみりと 先生が贈る新作は大人の青春物語。シンガーソングライターとして夢を
叶えた女と彼女に劣等感を抱いて自暴自棄になった男が再会することで話が動き出します。
(イラスト:フライ 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/kimiwasu/321803000510.html


余命半年。大学も中退し、近所からは後ろ指を指されながらニートな日々を過ごす“修”。
ある日、悪友の“正清”に連れまわされて辿り着いた母校の中学校で、「彼女」のために
書いた歌を唄う声が聴こえる。あの日互いの道を分けたはずの“鞘音”の姿がそこに──。

今や現役大学生シンガーソングライターとして有名となった“鞘音”が5年前。唄う夢に
一緒になって付いてきてほしかった“正清”が気づけなかった「あの7秒」がもどかしい。
動かなくなった指をもう一度、動かせるようにしてまでやったことがムダに思えるくらい。

迫りくる命の期日。幼馴染としての“鞘音”と歌手としての“SAYANE”。“修”と一緒に
バカをやってくれる人たち。彼が引き止めたかったのはどっちの彼女なのか。すれ違う
感情の果てに2人は互いの道を、想いを寄せられるのか。ぜひ結末を確かめてみて下さい。

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2018年09月18日

『二十世紀電氣目録』

すでにアニメ化が進んでいる、結城弘 先生の第8回京都アニメーション大賞奨励賞受賞作。
明治時代に出会った、神仏を妄信する少女と電気が人々を救うと豪語する少年の恋物語です。
(イラスト:池田和美 先生 美術・背景:長谷百香 先生)

http://www.kyotoanimation.co.jp/books/lineup/?cd=978-4-907064-88-4
http://www.kyotoanimation.co.jp/books/20thdenmoku/


酒造りの家に生まれた“稲子”は信心深く、鈍くさいことで知られる少女。傾いた経営の
カタに酒問屋の“洋輔”に嫁入りが決まると意気消沈する。そんな彼女に偶然知り合った
“喜八”が救出に乗り出すが、彼が幼少の折に書いた「電氣目録」が欲しいと言われ──。

「二十世紀は電気の世紀」兄“清六”と共に行った博覧会で電気に魅了された“喜八”が
落書きのように書いた「電氣目録」が欲しい理由は何か。1冊の本を巡って描かれる壮大
かつ浪漫にあふれた冒険譚と恋愛模様にまず惹き込まれます。彼を応援したくなります。

“喜八”と“稲子”が結婚話をご破算にしようと四苦八苦する中で出会う人物たちが描く
思いがけない相関図が、2人が実は逢うべくして逢っていたのかもしれない、と思わせる
ほどに秀逸に出来ていて驚きました。信じる心が結ぶ話も清々しくて、実に良かったです。

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2018年09月17日

『魔法使い黎明期 劣等生と杖の魔女』

『ゼロから始める魔法の書』の 虎走かける 先生が、その世界観を受け継いだ新作を発表。
ウェニアス王国王立魔法学校の落ちこぼれに課せられた特別実習を巡る騒動を描きます。
(イラスト:いわさきたかし 先生 一部キャラクター原案:しずまよしのり 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2018/9/#bk9784065132951


「魔女がいる村で、どんな形でもいいから魔法使いとしての実績をあげてほしい」学長の
“アルバス”からそう告げられた“セービル”は魔法学校で過去最低という成績の持ち主。
秀才の“ホルト”、獣堕ちの“クドー”、引率に魔女の“ロス”が加わり賑やかだが──

「ゼロの書」の閲覧が目的の“ロス”が実に自由闊達で、まず面白い。そこへ魔法使いに
なりたい理由が様々の特別実習生らが村までの旅を謳歌・・・できなくなる事件に見舞われる
所から話は少しずつきな臭くなってきます。この胡散臭い展開に期待が高まるというもの。

辿り着いた村で出会う“傭兵”や“神父”そして“ゼロ”のらしからぬ言動が生徒たちを
翻弄していく中で知らされる「特別実習」の真の意味。これは“アルバス”、えげつない。
種明かしの一幕にほっと安心した所で“セービル”たちがどんな成果を出すか楽しみです。

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2018年09月14日

『僕は君に爆弾を仕掛けたい。』

高木敦史 先生が贈る新作は学園謎解きラブコメディ。とある理由により仕掛けた爆弾を
見つけられた少年が、それを見つけた少女の言動に次々振り回されていく様子を描きます。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/bokuhakiminibakudan/321805000440.html


テストで常に一位を取りながら保健室登校を続ける“小手毬”は七不思議に挙げられる
ほど謎多き存在。ある日、“胤森”先生を悪意から護るために爆弾を準備した“笹子”は
彼女にそれを撤去されてしまう。探りを入れてみると思わぬ舌戦を繰り広げる破目に──。

「犯人」を引きずり出せるか。“笹子”に対して勝負を挑む“小手毬”を軽くあしらう
つもりがとんでもない事実を突きつけられて完敗してしまう彼の油断。それが彼と彼女が
学園内の謎に首を突っ込む契機になるのが面白い。2人のこじらせ具合も相当なもので。

気難しい“小手毬”が抱く、学園の良くも悪くも「平和主義」な一面へのくずぶった憤り。
それがお気に入りとした“笹子”からの手痛いしっぺ返しで晒される、何ともはた迷惑な
痴話喧嘩をぜひ見届けてあげてほしい。そして2人の行く末を見守ってほしいものです。

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