2020年08月07日

『僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場』

『出会ってひと突きで絶頂除霊!』が絶好調の 赤城大空 先生が贈る新作は、婚期に焦る
最強の女戦士、女魔導師、女邪法聖職者が「若いツバメ」育成を計画する顛末を描きます。
(イラスト:タジマ粒子 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518597


有数のS級冒険者にして美貌をもつ3女傑、“リオーネ”“リュドミラ”“テロメア”。
「歩く天災」とも揶揄される強さ故に、3人に釣り合う男がなかなか見つからず幾年月。
冒険者学校に勇者の末裔が入学すると聞き、自分好みの男に育てることを目論むが──。

物語の鍵を握るのは勇者の末裔ではなく、レベル0でスキル0、「0点クロス」と侮蔑
される少年“クロス”。憧れの“エリシア”を目指し、努力を重ねるがいつも報われず、
天から授かった職業も「無職」と14歳にして人生お先真っ暗。容赦ない設定が心苦しい。

そんな“クロス”が3女傑の目に留まって、彼女たちの指導に応え、その思惑を超えて
強くなっていく過程が熱い。努力が報われるのは嬉しいものです。3女傑の毒牙以外に
“ジゼル”も含めたフラグの育ち具合も気になる本作、続きが気になるシリーズです。

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2020年08月06日

『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? 7時間目』

さがら総 先生が贈る年の差ラブコメ。第7巻は書くべき物語を完成させた“天神”に対し
「面白いかどうか」以前に「出版できるかどうか」を問う編集者の視線が突き刺さります。
(イラスト:ももこ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/oshiego-kyohaku/321912000701.html


感染症に罹患した“志辺里”に代わり、担当を受け持つ編集部のスーパーエース“久堂”。
彼女がお墨付きを出した作品に対して、彼が“天神”へ告げた言葉の一つ一つが世知辛い。
何より今巻の鍵を握る、“星花”に「天出太郎」であることを隠している指摘が胸に痛い。

まずSNSの活用、動画配信で活路を見い出す“天神”。彼の日常生活を支える“冬燕”の
彼に対する固執ぶりがまず印象深い。そして「気持ち悪い」やり方と言われても、彼女の
悔し涙を見ても、物語を「読者の心に触れるための道具」と再認識した彼の強さも同様に。

事案モノの顛末がある一方、“楓”と“凛”の睦まじい様子に心温める場面もありました。
プロローグ「堕落世界」が今巻の内容を代表するかのような意味合いを示していたのに
対してエピローグの意味するところは重く、「彼女」はどう受け止めるのか、見守ります。

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2020年08月05日

『このぬくもりを君と呼ぶんだ』

悠木りん 先生の「第14回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。地下都市を作り移住
を余儀なくされた人類の「地上に似た世界」にてリアルを渇望する少女の葛藤を描きます。
(イラスト:仲谷鳰 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518542


空も食物も人間関係すらも。偽物だらけの日常にウンザリし本物に憧れを抱く“レニー”。
サボり仲間の“トーカ”と共に学校を抜け出してはリアル探しに明け暮れる彼女がある日
一瞬赤く燃えた不思議な玉を手にする。太陽のような温もりをもう一度と願う彼女は──。

“レニー”が「太陽の欠片」と名付けた玉をきっかけに、太陽に憧れる人々の主義主張が、
地下都市に移住した際に出来た人々の軋轢が、“トーカ”とのかけがえのないつながりを
嘘に嘘を重ねて塗りつぶしていくのが、偽りのぬくもりを頼ってしまう彼女がもどかしい。

「太陽の欠片」に踊らされて何がフェイクで、何がリアルなのかを見誤りかけた“レニー”
を“トーカ”が命懸けで救いにかかる場面は胸熱くなるものが。仲谷鳰 先生の巻末漫画で
2人の後日譚を描く構成も攻めの構成で、未来に希望を感じさせるまとめ方でありました。

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2020年08月04日

『女子高生同士がまた恋に落ちるかもしれない話。』

「メディアワークス文庫」で作品を出す 杜奏みなや 先生が「電撃文庫」から贈る新作は
幼いころに助けてくれた女の子との再会から始まる、女の子同士の初恋やり直し物語です。
(イラスト:小奈きなこ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/koi_ochi/321909000026.html


寮生活を送る“愛梨咲”は、風呂が壊れたため別の寮に相部屋することに。雨の日に移動
する道すがら、彼女は傘も差さず虚空に手を伸ばす少女に目を奪われる。その少女が共に
生活する相手“佑月”で、“愛梨咲”に対して何やら思う所ある言動を見せるのだが──。

星が好き、という共通項を持つ“愛梨咲”と“佑月”。そこからさらに2人を結びつける
ある昔話に繋がることから互いに意識し合う関係へと変化する機微がこそばゆいというか
初々しいというか。ただし「好き」というよりは「敬愛」に近いような印象を受けました。

2人出会ったことで、互いに掛けた言葉に支えられて、欠けたと思っていた大切な何かが
自分の中にあることに気づいて、相手を「すごい」と認めることができて、そして大切な
今がある。星が結んだ絆の尊さを見守りたくなります。続刊も決まったようで楽しみです。

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2020年08月03日

『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話2』

早々に かやこ 先生によるコミカライズが決まった、みかみてれん 先生の大人気ガルコメ。
第2巻は“鞠佳”が年上のバイト友達から告白を受けるイベントと騒動の顛末を描きます。
(イラスト:雪子 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607104.html


“鞠佳”の“絢”に対する「ありえない」は尽きない。しかし“絢”の気持ちを受け入れ
愛を重ねる“鞠佳”が示すそれはプレイなのか、本気なのか。傍目からは区別がしにくい。
そんな繊細な機微を「セーフワード」に例え、物語のキーワードとする辺りが上手い演出。

下心満載の“カレン”が興味本位で見せた占いの結果。その凶兆を現実のものとする人物
については想像の枠内かと思います。しかし向けられた悪意を前に「ありえない」対応を
とるのが“鞠佳”流。驚かされる一方、“絢”がお仕置きに走るのも無理はないワケで。

“絢”に友だちを作ってほしい、と試行錯誤する“鞠佳”の願いも少しずつ身を結ぶのが
見て取れる展開にも注目。彼女も頑張っていることを、更に変化を受け入れていることを
短編からも感じてほしい所。誘い受けの“鞠佳”が次にどんな騒動を招くのか楽しみです。

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2020年07月31日

『やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく』

霜野おつかい先生が別名義、ふか田さめたろうとして「小説家になろう」に投稿していた
ラブコメディが書籍化。察しのいい少年が毒舌美少女に抱く感情を突き詰めていきます。
(イラスト:ふーみ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815606268.html
https://ncode.syosetu.com/n0674fu


「猛毒の白雪姫」とあだ名される美少女“小雪”をタチの悪いナンパから救った“直哉”。
案の定、助けたはずの彼女から毒舌を浴びせられるが、寝たきりとなった母親を看病する
際に身につけた察しの良さで彼はその本音を見破る。彼女は羞恥のあまり逃げ出すが──。

吊り橋効果さながらに“小雪”が抱く恋心を砕くフラグブレイカーかと思えば、それでも
怯まない彼女に興味を抱き、その感情がどういう意味の「好き」か見極めるため積極的に
絡んでいく“直哉”。グイグイくる要素を男側に持たせたのが功を奏していて面白いです。

“小雪”が見せる様々な表情を描く ふーみ 先生の挿絵が見事に適合していてまたお見事。
彼女の妹“朔夜”やその両親が“直哉”の人となりを判断する過程も楽しく、サクサクと
読み進めることができます。大団円が確定するのを見届けるその時を待ち望みたい所です。

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2020年07月30日

『ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい』

『乃木坂明日夏の秘密』と同時刊行を迎える 五十嵐雄策 先生の新作は、美少女ボイスを
持つ先輩を一日三回褒めるノルマを課した少年の努力と葛藤を描く照れかわラブコメです。
(イラスト:はねこと 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322002000164.html


毎日お昼に行われる、ソプラノ掛かった大人びた声の校内放送。“龍之介”は知っている。
その声の持ち主が放送部に在籍する華奢な先輩“花梨”で、普段はアニメ声であることを。
そんな彼女に対して一日三回喜んでもらおうと、心に決めていることが彼にはあって──。

先輩に対して真摯に、嫌味に感じることなく、正直な気持ちを伝える“龍之介”の姿勢は
実に好感が持てます。その言葉を受け止める“花梨”のバリエーション豊かな照れ具合に
思わずニヨニヨしてしまいます。それを描く はねこと 先生の挿絵がまた絶妙なもので。

“龍之介”の言動が周囲にも波及していく様子も注目しつつ、彼がその行動に至った理由
も理に適ったものがあるのであわせて見てもらいたい点です。実は“花梨”にもある悩み
と決意があります。これがまた印象深くエピローグで心温まること間違いなしの一作です。

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