2018年10月31日

『落第騎士の英雄譚15』

海空りく 先生が贈る学園ソードアクション。第15巻は“オル=ゴール”との直接決戦で
“ステラ”そして“一輝”が決断を迫られる、ヴァーミリオン戦役の最終局面を描きます。
(イラスト:をん 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797399011.html


“オル=ゴール”の姉として“一輝”と対峙する“アイリス”の圧倒的な強さは応援する
周囲も棄権を促すほど。けれど彼女に圧倒されながらも闘いを諦めない彼の姿に、勝利を
何が何でも掴もうとする貪欲さが見えた時の高揚感、そして結末が見せる寂寥感たるや。

その上で“オル=ゴール”が仕掛けてくる無差別で無慈悲な戦いぶりが実にえげつない。
しかし“ステラ”や仲間たちも負けない強さで対抗するあたりは熱量あふれる展開です。
その彼女の働きをも上回る《傀儡王》の切り札がまた凄くて、“一輝”も油断するほど。

最初から間違っていた“オル=ゴール”の正しさと、彼が憎んだ“一輝”たちの正しさ。
命を懸けた“一輝”の決断を“ステラ”がどう受け止めるのかぜひ見届けていただきたい
最終局面にふさわしい話運び。引きは色々どうなるんだ感が強く、続きが気になります。

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2018年10月30日

『弱キャラ友崎くん Lv.6.5』

屋久ユウキ 先生が贈る人生攻略ラブコメ。シリーズ初の短編集は“日南”たちがこれまで
目にしてきた様々な青春模様に繋がるまでの物語、その数々を小編としてまとめています。
(イラスト:フライ 先生)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09451757


「そして、その後の話。」に至るまでに変化していく“七海”の機微が今巻だけでも見て
取れるという、何とも言えないこそばゆい感がたまりません。また、彼女視点からも含め
窺える“友崎”の印象とその遷移も見逃せません。7巻の刊行が待ち遠しくて仕方がない。

そんな中、胸に響いたのは“菊池”の小編。逃避から始まったかも知れない図書室通いで
たまたま出会ったマイケル・アンディの作品から、登場人物に対する共感を自身の変革へ
繋げていく勇気、それがしっかりと結果に結びつく日記帳の記載に心が温かくなります。

ほかにも“泉”の取り越し苦労な感じとか、パーフェクトヒロインになる前の“日南”が
自身を高めるためにどんな考え方をもって行動してきたかが分かるのも、この短編集の
醍醐味と言えるでしょう。本筋だけでは見えない物語、機会があればまた見たいものです。

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2018年10月29日

『ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?2 〜たまらなく愛おしく、とにかく尊い〜』

望公太 先生が贈る純愛・甘々ラブコメディ。第2巻は“薫”が同級生の“咲”から突然の
「付き合ってもいいのよ?」宣言をもらったことで、“姫”との関係が再びざわつきます。
(イラスト:ななせめるち 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797398694.html


周りの友達がみんな彼氏を作ったので、告白したら断られないはずの“薫”を彼氏に選んだ
という何とも身勝手な理由をあっさりと明かす“咲”。“姫”に引けを感じさせてしまう
新たな火種になることを思うと、何とも煩わしい存在だと感じてしまうのも無理はなく。

しかし、そこに至る過程というか本音を“咲”が明かしてくれたことで「人を好きになる」
きっかけはどこに転がっているか分からないし、その気持ちはなかなか止められない、と
思春期真っ只中の青春ぶり、かつ恋愛模様を見せてくれて彼女が憎めない存在に転じます。

それでもすれ違い、何度でもくっつき直す“薫”と“姫”のこそばゆい関係は相変わらず。
発破をかける姉の“妃”がいろいろ勘違いさせられちゃうシチュエーションがまた面白い。
今回も彼女一筋で男を魅せてくれた“薫”を心から応援しつつ、次巻の動向に注目します。

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2018年10月26日

『魔法科高校の劣等生 司波達也暗殺計画(1)』

佐島勤 先生が贈る大人気シリーズのスピンオフ作品。暗殺を生業とする少女がその現場を
“達也”に見られたことで、いらぬ苦労とあらぬ運命を背負うことになる顛末を描きます。
(イラスト:石田可奈 先生)

https://dengekibunko.jp/product/mahouka/321805000011.html


暗殺者を束ねる「亜貿社」に所属する“有希”。彼女がいつもの如く殺しの依頼をこなす
ある日、妙に落ち着いた様子の少年に見られた上に取り逃がすというまさかの失態を犯す。
彼の名は“司波達也”。底知れない何かを感じる年下の少年を彼女は始末できるのか──。

知っている側からすると、“有希”の「最初から詰んでる」と言わざるを得ない境遇には
同情すら覚えるワケで。相棒の“鰐塚”がサポートするも“達也”を憧憬する“文弥”の
介入もあって少しずつ追い詰められていく彼女が見せる負けん気は健気とも言える感じで。

あとがきにもありますが本作の「ヒロイン」は誰か、という視点で見ると本作を読了して
感じる印象には違いが出るかも。何を言われても“有希”へ変装を促す“黒川”の姿勢は
天晴れと申し上げたい。“有希”が新しい環境下でどう生きていくのか見ていく次第です。

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2018年10月25日

『乃木坂明日夏の秘密(2)』

五十嵐雄策 先生が贈る次世代シークレット・ラブコメ。第2巻は夏休みを通じて秘密を
共有し合う“明日夏”と“善人”の前に彼女の姉“未来”が現れて一波乱ありそうです。
(イラスト:しゃあ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/nogisaka/321805000014.html


“善人”を「せんせー」と呼ぶ“明日夏”の気が置けない様子は何ともこそばゆくて実に
良いものです。お揃いのアイテムを購入したり、水着姿を堪能したり、プチ遭難したりと
うらやまけしからん場面が目白押し。しゃあ 先生のイラストも映えるシチュエーション。

今回は“明日夏”のうっかりさんなところから夏コミに参加することになってしまう所を
支援する形になる“善人”。その過程で彼が“未来”とのやり取りを通じて“明日夏”の
心に姉の存在が影を落としていることを再認識するシーンでは男気を魅せてくれました。

何かと“明日夏”たちを後押ししてくれる“美夏”が二人の様子を見てつぶやいたほんの
少しの本音にちょっぴり切なさを感じてみたり。乃木坂家の関係者との接触が増えてきた
“善人”ですが、次はいよいよラスボス登場といった感じで。どう話が転ぶか楽しみです。

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2018年10月24日

『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』

鴨志田一 先生が贈る青春ストーリー。TVアニメ放送中に刊行される第8巻は子役時代の
“麻衣”に似た少女と出会った“咲太”が、改めて家族とのつながりを見つめ直します。
(イラスト:溝口ケージ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/aobuta/321805000007.html
https://ao-buta.com/


小学生の女の子に気付いたのは“咲太”だけ。“麻衣”に尋ねても見ていない、という
回答から新たな思春期症候群の発症を予感させるものの、それが何か見えてこない展開
にはどこか緊張感を漂わせます。“翔子”のワンピース姿がまるで一服の清涼剤のよう。

「“花楓”に会いたい」と母親の気持ちを受けた彼女に湧き上がる感情の昂りとは逆に
いろいろと悩みに考えを巡らせる“咲太”。その油断を突くかの如く始まる異常事態。
迷子の少女、という存在がまさに彼がいま母親に対してどう思っているかを示します。

「みんな、自分でなんとかしたんだよ」その言葉にそれでも前を向く“咲太”の芯の
強さを見せつけられた気がして、強く印象に残ります。そして“麻衣”がいることの
安心感にひたらせてもらいました。布石を打ちつつの大学生編に移る次巻に注目です。

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2018年10月23日

『ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌2』

峰守ひろかず 先生が贈る「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズのスピンオフ。第2巻は
新たなビブリアファイトを通じて変わっていく“響平”と“こぐち”の機微に触れます。
(イラスト:おかだアンミツ 先生 原作・監修:三上延 先生)

https://dengekibunko.jp/product/biblia/321805000008.html
https://biblia.jp/


委員長然とする“のどか”を相手に繰り広げる舌戦の熱気を楽しむのも束の間、彼女の
思いがけない秘密を知ることで距離感を縮めていく“響平”の迂闊さ。“こぐち”の淡い
気持ちがもどかしさを募らせる展開に対して罰のように彼が賭けの対象になるのは面白い。

いつの間にか一緒にいるのが当たり前、そう思っていた“こぐち”。彼女に想いを伝える
者の登場を前にしても一歩踏み出せない“響平”。『ブギーポップ』を読んで一皮むけて、
『とらドラ!』を通じて彼女を、そして自分をも後押ししていく話運びがとても素敵です。

ビブリアファイトを半年続けてきて“響平”が気づいたこと。それが何なのかを最後まで
見届けて頂きたい。最後の引用も実にお見事。おかだアンミツ 先生の挿絵からも窺える
“のどか”の精神的な成長も感慨深いものが。また続きが読みたい気持ちでいっぱいです。

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2018年10月22日

『数字で救う! 弱小国家 3 幸せになれる確率を求めよ。ただしあなたの過去は変わらないものとする。』

長田信織 先生が贈る救国戦記ファンタジー。第3巻は“ソアラ”が領地を下賜する、その
意味を知っていてなお断った“ナオキ”のしがらみに、新たな騒動を交えて触れていきます。
(イラスト:紅緒 先生)

https://dengekibunko.jp/product/su-suku/321805000013.html


数学の才能を持つ逸材を求めて早速トラブルを招き入れる“ナオキ”。女性問題もですが
最後の引きの弱さとかも含めて、彼らしさを今巻も見せてくれます。“トゥーナ”に先を
越されるあたり“ソアラ”も報われないな、とか思っていたらけじめをつけてくれました。

“ソアラ”からの間接的なプロポーズを受け流した“ナオキ”が抱く無力感のような想い。
背景にある彼の過去、さらに世界の違いをどう受け止めてきたか吐露した内容が印象深い。
緩衝役を務めてくれる“テレンティア”の存在もまた重要で、立ち回りに好感が持てます。

グラフの使い方、解説の分かりやすさ、紅緒 先生の挿絵による絶妙な演出、そして2人の
絶妙な関係、まさに集大成と言える第3巻でありました。節目として綺麗にまとめてきた
とも言えますがここはぜひもう一声! 2人のその先とか穴埋めエピソードも見たいです。

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2018年10月19日

『いづれ神話の放課後戦争〈ラグナロク〉10 ─魔眼の王と天焦愛唄─』

なめこ印 先生が贈る学園ヒロイックバトルサーガ。第10巻は“大聖女”の世界の救い方を
体感した“雷火”が示す心の揺らぎを“バロール”が、そして“天華”が問いただします。
(イラスト:よう太 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321802000322


夢のような幸せすぎる日常。それを“雷火”に見せた“大聖女”の意図がどうしようも
なく彼の考え方と相容れないやり取り。更に彼女の方が正しいという点も踏まえるともう
絶望するしかない局面。だからこそ彼が、そして“バロール”が示す悪足掻きが映えます。

紆余曲折の中で今いる女性陣と共に過ごしてきた日々が“雷火”の心境に決定的な変化を
もたらしたことが分かる弱音の吐露。彼だから、という側面だけでなく、人として生きて
いく上での葛藤も窺える熱量に感動すら覚えるほどでした。これはぜひ見てほしいシーン。

“雷火”が示した決心は“天華”に対しても向けられます。最後の大一番となる兄妹喧嘩
の顛末も見どころ。彼女も引くに引けない場所まで来ている葛藤をついに明かしてくれた
感情の爆発ぶりも印象深いものがありました。無事完結させたことに御礼申し上げる次第。

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2018年10月18日

-インフィニット・デンドログラム- 8.遺された希望』

海道左近 先生が贈る激熱VRMMOファンタジー。第8巻は国難に対し〈マスター〉を戦力と
みなすか否か。若き国王代行の悩みも絡む遺跡へ“レイ”が新しいジョブを求め臨みます。
(イラスト/タイキ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/806.html


“ネメシス”の心配する気持ちも知らずに「聖騎士」でありながら“アズライト”に悪漢
と間違われる程のファッションセンスを見せつけてしまう“レイ”に微笑ましくも苦笑い。
訳ありだがやらかす“アズライト”や彼にアレを言われた時の“ネメシス”の姿が可愛い。

“アズライト”が抱える悩みに触れながら、遺跡にまつわる秘密や暗躍する人物たちに
迫っていく過程が緊張感の高まりを演出してきます。その中で真摯に対応する“レイ”の
姿に心を打たれていく彼女の機微。何かが報われる感じがして思わず応援したくなります。

“レイ”が見聞きする「オッドアイ」「名前表示のおかしい機械仕掛けの人型モンスター」
というキーワード。これが示す真実に気づいた彼が対峙する相手の強さ、それすらも嵐の
前兆くらいの扱いになっていて戦々恐々とする思いです。新スキルの扱いも含め注目です。

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2018年10月17日

『チアーズ!3』

「月刊コミックアライブ」にて せうかなめ 先生の漫画連載も始まった 赤松中学 先生の
汗と涙の青春活劇。第3巻は「競技チア」の出場に必要となる7人目の部員が登場します。
(イラスト:こぶいち 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/cheers/321712001038.html


バレー部の試合で応援する場面。チアーズのレベルが低いことを印象づける描写の数々に
加えてクィーンズの“リエ”から浴びせられる嫌味がごもっともな内容で、彼女たちの
悔しさが伝わるかのよう。そんな中にも、ちゃんと報われるシーンがあって救われます。

苦い経験を胸に頑張る意気込みを見せるチアーズに“沙織”目当ての“阿実”が入部を
申し込むわけですが、2軍とはいえイレーネ学院チア部に所属していた彼女の自尊心は
高く、馴染めるのか心配になります。まさか鍵を握るのが「彼女」になるとは露知らず。

チアリーディングは採点競技、と信じて疑わない“沙織”が、実力は申し分ないはず
なのになぜ強豪校で2軍なのか。そこにチアの本質、チアーズの資質を魅せてくれて
実に良いスポ根ぶりでした。分かりやすい敵役“リエ”の鼻をぜひ明かしてほしいです。

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2018年10月16日

『魔王を倒した俺に待っていたのは、世話好きなヨメとのイチャイチャ錬金生活だった。 2』

かじいたかし 先生が贈るスイート錬金生活ストーリー。第2巻は“イザヤ”に昔の女なる
人物が登場し、更に連れ戻すと宣言されて気が気でない“ヨメ”の胸中に触れていきます。
(イラスト/ふーみ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/808.html


木工のぷちあに作りに専念するあまり“ヨメ”との進展がないことを危惧する“エリカ”の
気持ちも分かるというもので。“イザヤ”の軽い夏風邪を口実に甲斐甲斐しくイチャイチャ
してみたり、バカンスへ誘おうとする“ヨメ”のいじらしさたるや羨ましいことこの上ない。

懸命にアプローチする“ヨメ”の心を揺さぶる“ロゼ”の登場は、彼女にとってまさに衝撃
と言わざるを得ないワケで。二人の関係を勘繰って静かに涙する“ヨメ”の気持ちを思うと
ちょっと“イザヤ”を張り倒したくなるというものです。彼なりに思う所はあるのですけど。

“マリー”も含めての避けられない勝負に臨むことになる展開を経て“ヨメ”を決心させる
イチャイチャ錬金術(!?)の強さと絆を改めて見せつけてもらいました。“ロゼ”に対して
しっかりフォローしていく結末も良かったと思います。続刊も決まって続きが楽しみです。

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2018年10月15日

『じゅっさいのおよめさん』

三門鉄狼 先生が「講談社ラノベ文庫」から贈る新作は、見ず知らずの少女に嫁宣言をされ
わけもわからぬまま新婚生活をすることになった少年の人生を揺るがす思い出を綴ります。
(イラスト:ふーみ 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2018/10/#bk9784065137949


「なんで、君が僕のお嫁さんなの?」「わたしが、せいじのこと、すきだからだよっ!」
「警察」「けーさつのひとがきたら、おにいさんにむりやり、つれこまれましたっていう」
冤罪と有罪の狭間で“誠二”は謎の少女を迎え入れる。その先にある未来も知らずに──。

困惑する“誠二”と対称的に二人でいる時間が楽しい少女。彼女が級友の“みのり”だと
判明するもなぜ10歳の姿なのか、という新たな謎がつきまとうのに微笑ましい日々は続く。
けれどその謎が、彼の予想だにしない秘密によってもたらされたことを知ってからは急転。

実は2人で居られる時間が限られていて。“みのり”は決断した。“誠二”はどうする。
その状況にもっていった設定の妙と、究極の選択に対して彼が選んだ道。決して不幸な
展開にならない爽やかな読了感も安心の一言。ページ数も少なく読みやすくてお薦めです。

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2018年10月12日

『女衒屋グエン』

日向夏 先生の新作が「星海社FICTIONS」から初登場。花街一番の美女に情夫として囲われ
女買いの役割を担う男と、顔に傷痕を持つ下働きの少女が抱える秘密を描く中華小説です。
(イラスト/鈴木健也 先生)

https://www.seikaisha.co.jp/information/2018/09/07-post-1809guen.html


舌足らずな少女“一琳”(イーリン)と、痩身な女性“静蕾”(ジンレイ)。“虞淵”が
買い付けてきた2人を見て顔の右半分をさらしで隠す“翡”(フェイ)は世話を焼く娘が
増えたと思う中、怒鳴る女主人を前に彼は彼女たちを半年で妓女にすると嘯くのだが──。

“静蕾”の資質に気付いていた“虞淵”が彼女をどう妓女に仕上げるのかお手並み拝見、
という話を皮きりに他の女の客を取る強気な“万姫”(ワンジェン)、元旦那の身請け話
に揺れる“思思”(スースー)の話を通じて妓女の世界の華やかさと厳しさに直面します。

下働きの身から妓女たちの話に何かしら関わってくる“翡”。物語の最高潮を迎える場面
において彼女がどう関わってくるのか。“虞淵”の秘密との絡み合い、かつ 鈴木 先生が
描き出すカラー挿絵の演出は実に見事。日向夏 先生ならではの話運びをぜひご堪能あれ。

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2018年10月11日

『ビブリア古書堂の事件手帖 〜扉子と不思議な客人たち〜』

11月に映画上映を迎える、三上延 先生の大人気ビブリオミステリ。“栞子”と“大輔”が
娘の“扉子”に古書に纏わる挿話を聞かせる形で、2人のその後を綴る小編を収録します。
(イラスト:越島はぐ 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-912044-8/


本作を読んでいてライトノベルの話が出てくると内心で動揺が走るというもの。母親譲りの
無類の本好きへとすでに育ちつつある“扉子”と、自身の生い立ちがある故に娘になかなか
強く言い出せない“栞子”の振舞いが微笑ましくて苦笑い。“扉子”の成長が気になる所。

『からたちの花 北原白秋童謡集』では新版の本をプレゼントされる、その意図に気付いた
“由紀子”の機微の変化に希望を感じました。『雪の断章』では“志田”にもう一人いた
生徒を巡って悶々とした内情が描かれる“奈緒”の描写が過去の逸話と相まって印象的で。

『俺と母さんの思い出の本』『王様の背中』のように穏やかには収まらないエピソードも
あります。「本が好きな人となら、誰とでも仲よくなれるわけではないの」そう語りかける
“栞子”の言葉が深く静かに響いてきます。披露されなかった前日譚、見てみたい所です。

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2018年10月10日

『魔術破りのリベンジ・マギア 5.救世の屍王と恩讐の行方』

コミック1巻と同時刊行となる、子子子子子子子 先生のハイエンド魔術バトルアクション。
第5巻は突然失踪した“鴨女”の行方を辿る“晴栄”が彼女の仇となる強敵と対峙します。
(イラスト/伊吹のつ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/807.html
https://hobbyjapan.co.jp/comic/series/revenge/


私立探偵“三郎”のつなぎを皮きりに見えてくる道士“フー・マンチュー”の目的と強さ。
「人類の救済」と称し次々と凶行に及ぶ彼に圧倒される“鴨女”の姿に危機感の募る展開。
キョンシーを操る道士を相手に、陰陽師の“晴栄”がどう立ち向かうのかが見どころです。

攫われた“鴨女”を救う道中で出会う謎の美女“リンタン”。名と共に明かさない彼女の
真意、その覚悟と結末は印象に残る顛末でした。圧倒的な強さを示す“フー・マンチュー”
に対して“晴栄”たちと共闘する熱いバトルでも魅せてくれる存在で好ましさを感じます。

“シナトラ”の検診に纏わる描写も物語のフックとして効いてくる“ティチュ”の成長も
ポイントとして押さえておきたい話運びです。御伽噺の王子様の如く救われた“鴨女”の
一大決心が何ともこそばゆい。“宮社惣恭”のコミックスも面白い本作の今後に注目です。

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2018年10月09日

『覇剣の皇姫アルティーナXIV』

むらさきゆきや 先生が贈る覇道戦記ファンタジー。第14巻はヒスパーニア帝国の征服を
進めていく“アルティーナ”たちが神の子と称される軍師を相手に軍略で競り合います。
(イラスト:himesuz 先生)

https://ebten.jp/p/9784047353107


生まれつき声の出せない“マリアム”。初子からの言葉もむなしく負け戦を強いられる
ヒスパーニアの将軍“フレジィ”と共に不遇な描写が反撃の狼煙へと繋がっていく布石と
なっているとは。軍神と謳われた祖父が憑依しているのではないか、というのも思わしげ。

小銃や大砲を駆使した新時代の戦い方を見せる“レジス”から窺える安心感に伴い周囲も
戦時中とはいえどこか穏やかな雰囲気を醸し出す。これもまた、これまで魅せてきた彼の
好調な進軍に影を落とす、まさに嵐の前の静けさのような伏線だったのかと思うと複雑で。

迎えた帝都カンタナル攻防戦。長期化を見せる両軍の均衡を打ち破る“レジス”の秘策に
沸き立つ様子を尻目に、負けじと一計を案じる“マリアム”のやり口が何ともえげつない。
油断に付け込まれた“レジス”はすでに手遅れなのか。次巻が待ち遠しくて仕方ないです。

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2018年10月08日

『15歳でも俺の嫁! 2 即日同棲から始まる電子書籍革命』

庵田定夏 先生が贈る禁断のお仕事ラブコメ。第2巻は歌って踊れて書ける知性派アイドル
“涼”が“賢一”との同棲生活と、“MARIA”との紙と電子の書籍売上勝負を開始します。
(イラスト:はまけん。 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/15yome/321806000212.html


知名度、売れっ子度で“MARIA”に後れを取る“涼”からの同棲提案。“アリサ”の嫉妬を
買う彼女の行動を受け入れた“賢一”が再び世の話題を攫っていく、三角関係の構図が
微笑ましい。思わしげな態度をとる“涼”、独占欲を示す“アリサ”、どちらもカワイイ。

今回は“涼”と“MARIA”の代理戦争が如く電子と紙の書籍が置かれている現状を踏まえた
競り合いが話の軸。この勝負を通じて両者の長所、短所をぜひ知っておいてもらいたい所。
どちらでないといけない、ではなくて共に出版業界を支えていく存在であるということを。

有名人となったが故に抱えてしまった“アリサ”と“涼”、各々の悩み。“賢一”が取次
の立場から解決を図る顛末がまた本作らしくて良かった。勝負の行方を左右する決め手と
その結果を受けて彼が示す態度も印象深いです。はまけん。先生の夢が叶うと信じてます。

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2018年10月05日

『ファイフステル・サーガ2 再臨の魔王と公国の動乱』

師走トオル 先生が贈る王道戦記ファンタジー。第2巻は“セシリア”との結婚式で暗殺
される未来を視た“カレル”が、黒幕を突き止めるべく新たな策謀の渦へ飛び込みます。
(イラスト:有坂あこ 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321712000907


冒頭で“コステル”伯が見せる横恋慕。彼が素知らぬ顔で“カレル”と接見する様子から
窺える公国に潜む禍根。読み手として伝えられないもどかしさを抱える中、毒殺に対して
どうにか回避する道を“カレル”は選べたものの予断を許さない状況は手に汗を握ります。

“コステル”伯という明白な内憂に隠れた思いがけない暗躍者によって窮地に立たされる
“カレル”と“セシリア”を手助けする“ヴェッセル”。おいしい所をもっていく天才か
と思わずにはいられない言動の数々には惚れ惚れします。“マリアン”も聡明で何より。

“コルネリウス”の意外な弱点たる“ヴィル”との出会いが、“カレル”たちの形勢を
覆すためにどう使われるのかもご注目。初夜の場面を書ききった先生に敬意を表しつつ、
暗躍する“フィクトル”総督が遭遇したアレがどう影響するか続きが楽しみであります。

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2018年10月04日

『やがて恋するヴィヴィ・レイン7』

犬村小六 先生が贈る、恋と会戦の物語。第7巻はワールド・トリガーの起動で壊れゆく
世界を前に“ルカ”や“ファニア”、様々な人たちがどう決着をつけるのかを描きます。
(イラスト:岩崎美奈子 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517538


エデンとの決戦に備え、痴話喧嘩をしながら“ルカ”と“ヴィヴィ”が共同生活を送る
微笑ましい様子とは対称的に、王女ではなく市民“ファニア”として三界を救うために
共和国を奪う道のりを歩み続ける彼女の命懸けな様子には何度もはらはらさせられます。

“ルカ”が死んだと思い込んでいる“ジェミニ”が“ファニア”との謁見で再燃させた
あの夢。共闘する2人が焦る“グレゴリオ”の内心を突いたやりとりは実に爽快。空を
埋めるエデンの猛攻に“ルカ”たちも協力して臨む最後の激戦は熱量があふれ出します。

最後まで道化を演じ続けた“カミーユ”もですが、思い返すと約束を果たした者たちの
叙事詩でもあったと感じます。終章からはタイトルにあるとおりの機微を窺える描写も
あって綺麗にまとめてきたものだと感心するばかりです。最後まで読めて幸せでした。

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