2020年08月31日

『たとえば俺が、チャンピオンから王女のヒモにジョブチェンジしたとして。』

藍藤唯 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。杠憲太 先生によるコミカライズも
決定した、天性の職業が人生を左右する世界で最強の無職が逆転人生を歩む人気作です。
(イラスト:霜降 先生(Laplacian))

https://fantasiabunko.jp/product/202008orechamp/322003001193.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_KS13201819010000_68/
https://ncode.syosetu.com/n1393fy/


コロッセオで王座を守り続ける“フウタ”は、相手の戦い方を模倣するスタイルに加えて
本来生まれ持つ職業を持たない〈無職〉であることからまるで悪役のような扱いを受ける。
疲弊した彼は経営者の甘言から過ちを犯し、コロッセオ追放され人生を彷徨うのだが──。

王国の第一王女“ライラック”に拾われた“フウタ”を世話するメイドの“コローナ”が
掴みどころのない性格でありながら魅せる場面が幾つもあって実に良いキャラクターです。
受動的な彼とは違い物語を動かしてくれる要員でもあり、目が離せない人物でもあります。

“フウタ”過去を知りながら客人として招いた“ライラック”の、最強になりたいという
想いの先にある真意。世界に挑むほどに熱い彼女に空恐ろしさを感じつつ、彼女の味方で
在り続ける彼がその期待に応え続けることができるのか。先が楽しみな物語に期待大です。

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2020年08月28日

『ストライク・ザ・ブラッド22 暁の凱旋』

三雲岳斗 先生が贈る大人気学園アクションファンタジー。第22巻は異境と“カイン”の
遺産を押さえた“レン”に絃神島も握られた“古城”が徹底抗戦する完結巻となります。
(イラスト:マニャ子 先生)

https://dengekibunko.jp/product/stb/322003000221.html


“古城”に番う12人の「血の伴侶」を巡る女性陣の表に裏に見せる想いがまず面白くて。
中でも“紗矢華”が不本意ながら遂に本心をさらけ出す流れがお気に入り。その中でも
ヤキモチを焼くだけで最後の一歩が踏み込めない“雪菜”の言動がもどかしいのなんの。

駄洒落を考えるの大変そう、と登場する度にペースを崩される“ラードリー”の強さに、
“古城”へ決定的な一撃を与える“レン”に圧倒される流れを「血の伴侶」が覆す展開
には驚かされました。そして、この極限だからこそ“雪菜”が一歩踏み出せたことにも。

暴力的な「眷獣弾頭」の存在に秘められた“カイン”の希望、それを担う絃神島の奇跡。
異境や吸血鬼の位置づけも埒外の繋がりを魅せながら最後は「わたしたちのケンカ」で
締め括ってくれたのも見事。匂わせぶりな結末も興味津々ですがまずは祝・完結、です。

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2020年08月27日

『はたらく魔王さま!21』

和ヶ原聡司 先生が贈る魔王と勇者の庶民派ファンタジー。第21巻は神討ちに挑む“真奥”
を襲う突然の体調不良が思いがけない結末に、そして覚悟へと繋がる最終巻となります。
(イラスト:029 先生)

https://dengekibunko.jp/product/maousama/321904000064.html


神討ち前に“真奥”たちがケジメをつけるべきこと。応じる“千穂”の両親との温度差に
苦笑いしながらも、すでに覚悟を決めていた親としての強さに圧倒されます。029 先生が
言及する「一回限りのゲストヒロイン」だった“千穂”の重要度は最後まで高止まりです。

“イグノラ”の壮大な目的、その背景にある想像を超えた歴史、意外に鍵を握る“漆原”。
明かされる情報量の多さにも圧倒されます。緊迫する局面を迎えたにも関わらずバトルも
なしに事態を収めてしまうあたりは実に本作らしい。神討ち後の、あのケリの付け方も。

神討ち後の動向を並行して描写する構成の中で描かれる各々の近況を楽しみつつ、ついに
“真奥”に対して“千穂”がワガママを言い切ったことに、それに応えた彼に惜しみない
賞賛を。エンドロールっぽい演出も実に格好良い。完結を祝いつつ、次回作にも期待です。

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2020年08月26日

『異世界よ、俺が無敵の吸血鬼だ! 〜夜のハーレム性活は計画的に〜』

猪野志士 先生が贈る新作は、現代日本で社畜として働く吸血鬼が、吸血鬼のいない人間と
魔族が争う異世界へと召喚されて、第三勢力の立場を確立すべく活動する顛末を描きます。
(イラスト:イコモチ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322002000142.html


日々仕事に追われ、街を巡る吸血鬼駆除部隊から逃げ隠れする“栄一郎”。彼の足元に
突如現れた光に誘われ、気がつくとそこは異世界。彼を召喚した“フィズリ”の話から
この世界で望むままに生きると決めた彼は早速、彼女の柔な首筋に牙を突き立てる──。

吸血鬼というものが如何に恐ろしい存在かということを人間に、魔族に知らしめるべく
活動する“栄一郎”改め“アルガ”の思考が社畜時代の名残あふれていてどこか滑稽で。
彼に血を吸われ恍惚と愉悦に耽る少女たちの描写がエロノベで通用する水準なのも良し。

“アルガ”のことを知りたい“フィズリ”の満更でもない様子に対し、彼に惚れ込んだ
魔族の少女“オルムネ”がヤキモチを焼くやり取りが微笑ましく感じられるのも好感触。
“オルムネ”の過去を清算した結果、厄介事を背負い込む彼の生き様が気になります。

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2020年08月25日

『友達の妹が俺にだけウザい5』

三河ごーすと 先生が贈るいちゃウザ青春ラブコメ。ドラマCD付き特装版が同時発売となる
第5巻は“彩羽”のウザかわいさを認める“明照”にニセ恋人の進捗確認が要求されます。
(イラスト:トマリ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815606237.html


ということで“真琴”から“明照”と“真白”がニセ恋人であることを忘れていないかと
読者に対してもフォローを入れるかのような展開。「5階同盟」の秘密を色々知った彼女
だからこそ立ち居振る舞いが難しい中で、想いを届けようと頑張りを魅せてくれました。

その想いを受け止める“明照”は“真白”からだけではない仄かな想いを感じ取っている
にも関わらず中途半端な立ち位置のままで。そんな彼に“音井”が重い一撃を叩き込んで
くれたことで彼の行動指針が固まったようにも見受けられます。今後の動向には興味津々。

“明照”が“彩羽”のウザ絡みを魅力と捉えた結果として、それをプロデュースしたいと
やや斜めの方向に思考が傾いたのは彼らしく。けれどその方針を知った彼女がどう思うか
考えが及ばないのもまた彼らしく。こぼれた涙と感情が報われることを願うばかりです。

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2020年08月24日

『りゅうおうのおしごと!13』

白鳥士郎 先生が贈る熱血将棋コメディ。第13巻は“銀子”が史上初の女性プロ棋士になる
その裏側で“あい”がJS研のあるメンバーとの別れを経て、更なる成長の兆しを見せます。
(イラスト:しらび 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815606442.html


プロローグで「ずっと考えている女の子」に対し「おぼえててほしい」と沢山書いた手紙。
ドラマCDの脚本をリライトしてこれまでの思い出を振り返る「最後のJS研」を挟みながら
エピローグで「手紙を書いた人」からの熱い想いを胸に刻む“あい”の流す涙が愛おしい。

それにしても“シャル”に対してロリコン疑惑を誘発する言動を繰り返す“八一”を見て
“銀子”と恋人同士になれたのが不思議に思えてくるのがアレですね。“あい”も含めて
制裁を加えてたくなるのも致し方ないというか。JS研メンバーも思う所があるのは納得で。

巻末の短編「白雪姫と魔王の休日」で狸寝入りをきめこむ“銀子”が魅せる、ますますの
可愛らしさといったらもう。“八一”さんやりましたね、って話で。病室に乱入してくる
“月夜見坂”と“供御飯”が示す言動と想いにも注目しながら、次巻の刊行を待ちます。

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2020年08月21日

『悪役令嬢になったウチのお嬢様がヤクザ令嬢だった件。』

翅田大介 先生の「カクヨム」投稿作。異世界の悪役令嬢に転生した女組長が、持ち前の
気風の良さを発揮して数々の破滅フラグを痛快に砕いていく「悪役令嬢もの」となります。
(イラスト: 珠梨やすゆき 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322005000028.html
https://kakuyomu.jp/works/1177354054898680000


日本の極道界を纏め上げた女組長“霧羽”は引退の間際、賊に襲われ命を落としたはずが
いわゆる「乙女ゲー」を下敷きとしたファンタジー世界で、“キリハレーネ”として転生。
早速、婚約者から“ユリアナ”に対する嫌がらせで断罪されるイベントに直面するが──。

本来、主人公枠の“ユリアナ”が、他人を陥れるのが好きという人物に転生されたことで
世界観が壊れると危惧した管理者。“霧羽”や彼女の周囲にかかる火の粉を彼の思惑から
外れて、気風よくあしらっていく流れが実に爽快。小編の連続で小気味よく進むのも好感。

力も頭も、「女」としての武器も使いながら“霧羽”が破滅フラグどころか死の運命すら
回避していく様子に憤慨する“ユリアナ”が更にどんな悪意を向けてくるのか、もしくは
異世界に転生して“霧羽”にふさわしい男性は現れるのか、続く展開を楽しみにしてます。

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2020年08月20日

『メイデーア転生物語 3 扉の向こうの魔法使い(上)』

友麻碧 先生が贈る本格ファンタジー作品。 第3巻は前世の自分を殺した相手との遭遇に
戸惑いが隠せない“マキア”と、過去と血筋に悩まされる“フレア”の機微を描きます。
(イラスト:雨壱絵穹 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/maydare/322001000668.html
https://ncode.syosetu.com/n3862be/


フレジール皇国の女王陛下“シャトマ”にも驚かされつつ“カノン”将軍の今は殺さない
発言や何かと匂わせる言動に“マキア”と同じく気が気でない状況が続くのがもどかしい。
彼女の不安を感じとった“トール”が必死に守ってあげようとする姿は何とも愛おしくて。

魔法学校での第一学年最後の班課題を進める中で“フレア”の報われない過去を、何より
大切な人たちからの想いを誤解していると気づいた“マキア”が何とかしようと尽力する
様子がいじらしい。肩入れするその姿にヤキモチを焼く“トール”がまた可愛いの何の。

世界を救う意欲を失う“アイリ”のいじける言動は見ていて虚しさが募るばかりですけど
思いがけないところから転生前の人間関係と今が結びついてしまった、となっては一大事。
メイデーアの命運を握るのは誰なのか。“マキア”も驚く事の行方を下巻と共に待ちます。

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2020年08月19日

『豚のレバーは加熱しろ(2回目)』

逆井卓馬 先生の「第26回電撃小説大賞・金賞」受賞作。第2巻はメステリアでの生活が
忘れられない主人公が同じ境遇の仲間と共に再び転移と“ジェス”との再会を試みます。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/butaliver/322002000186.html


黒豚姿のハンドルネーム“サノン”と共に“セレス”の元へ転生した豚の“ロリポーク”。
今回は“ジェス”とは別れ“セレス”の想い人、解放軍のリーダーとなった“ノット”を
救う旅に出るワケですが、相変わらずなトークを繰り広げる豚には安心感すら覚えます。

“ヴィース”から魔法を教わり、“イーヴィス”に記憶を封じられ、“シュラヴィス”の
許嫁として王都で過ごす“ジェス”。なぜこんなことをするのか、と悲憤慷慨する中で
打ち明けられる真実には“ジェス”に対する思い遣りが感じられて胸が熱くなりました。

その真実を汲んで“ジェス”とは赤の他人として振舞う“ロリポーク”の覚悟、中々に
真似のできることではないと感心させられます。“ノット”との繋がりも無視できない
様子ですし、今回も冴え渡った“ロリポーク”の推理は次も活かせるか、興味津々です。

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2020年08月18日

『ダークエルフの森となれ -現代転生戦争-』

水瀬葉月 先生が贈る新作は、輝獣という自然脅威に脅かされる日本に転移した、滅んだ
異世界種族代表たちが種族統合を果たすべく争う中に巻き込まれた少年の命運を描きます。
(イラスト:コダマ メカデザイン:黒銀 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322003000323.html


自分の嗜好が世間と違うことを認識し、ひた隠すために優等生という嘘の姿を日々演じる
“練介”。その日常に限界を感じたある日、見た目が明らかに人間ではない、彼が好きな
ダークエルフの少女“シーナ”と遭遇する。興味を抱いた彼女は彼にある提案をして──。

剣と魔法のファンタジー世界からやってきた“シーナ”。彼女の相棒を務める“練介”は
新たなエネルギー「EF」を動力とする駆動鉄騎リボルヴ(RV)を操る優秀なパイロット。
異なる世界観が融合し、織りなす物語の中心となる彼女に振り回されていく展開が楽しい。

“シーナ”との出会いから変わった日常、変わってしまった自分に戸惑う“練介”がその
葛藤を乗り越え、共に生きる覚悟を決めるか。この流れには魅せられるものがあります。
彼女がこの世界で生き残るとは何を意味するのか、それを考えつつ次巻を待ちたい所です。

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2020年08月17日

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。4』

コミカライズを担当する 足立いまる 先生に挿絵をバトンタッチし、しめさば 先生が贈る
サラリーマンと女子高生の日常ラブコメディ。第4巻は“沙優” の過去に触れていきます。
(イラスト:足立いまる 先生 キャラクター原案:ぶーた 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/higewosoru/321901000557.html


「連れ戻して来い」と“一颯”に言ってきた、という“沙優”の母親。推して知るべしな
人物像が実際に彼女の口から語られるのがつらい。安易に同情するのがおこがましいほど。
間に立つ彼の苦悩も分かるだけに、それでも家に戻らなければいけない現実がまたつらい。

“沙優”についてどう思っているのか“一颯”から改めて問いかけられた“吉田”。彼が
今の共同生活を振り返って頭でわかっていても行動に移せない、彼女に対して出来ること。
“あさみ”はさることながら、“三島”がそれを後押ししちゃうあたりは興味深い流れで。

「家族」とは何なのか。ありふれた言い方かもしれないけど“沙優”にとって大切なこと。
帰りたくない気持ちを抑え、“吉田”との出会いを力に変え、前に進もうとするその姿は
高潔さを感じます。彼女にサービスする彼はどんな顛末を見届けるのか、目が離せません。

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2020年08月14日

『ビブリア古書堂の事件手帖II 〜扉子と空白の時〜』

三上延 先生が贈る“栞子”と“大輔”のその後を描く大人気ビブリオミステリ。第2巻は
間を空けて起きた存在しないはずの「横溝正史の幻の作品」を巡る事件の顛末を描きます。
(イラスト:越島はぐ 先生)

https://mwbunko.com/product/321911000211.html


元は男爵位を持つ上島家で亡くなった“秋世”が残した横溝正史の『雪割草』が盗まれた。
単行本化されていない幻の本を取り返してほしいと依頼された“栞子”は依頼人“清美”、
その母で容疑を疑われる“初子”、彼女を犯人と決めつける叔母の“春子”と会うが──。

冒頭に「後味の悪い」話とあるとおり、『雪割草』を見つけた後に残る謎を解決した先に
残る感情は「たかが本、されど本」という想いの交錯がもたらすやるせなさが実に切ない。
この結末を反面教師として、価値観の違いを大事にしたい、尊重したいと思い直した次第。

今回“智恵子”に誘導される形で「ビブリア古書堂の事件手帖」に残された謎を読み解き、
書かれた以上の真実を導き出されるか試された“扉子”。受け継ぐ者を見極める祖母も、
応える孫も空恐ろしい。両親が知る由もない“扉子”の予感がもたらす物語に注目です。

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2020年08月13日

『ぼんくら陰陽師の鬼嫁 六』

秋田みやび 先生が贈る、退魔お仕事嫁物語。第6巻は凄腕の陰陽師でもある“鷹雄”の
北御門に対する呪詛により廃遊園地の中に閉じ込められた“芹”たちのその後を綴ります。
(イラスト:しのとうこ 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/bonkuraonmyouji/322004000606.html


一晩残って、うまくいけばそのまま解放する。危害を加える気がない“鷹雄”の意図が
見えない薄気味悪い展開。そんな中で1つずつ落ち続け観覧車のゴンドラ、更けていく
夜の闇、脱出を試みる“芹”たちの遭遇する霊障の数々がその雰囲気を加速させます。

何故か具合が悪化していく“鷹雄”、そして明るく振る舞ってはいるが熱っぽい“芹”。
はやる気持ちのままに現地へ急行する“皇臥”が“鷹雄”の真意を明らかにするまで
彼の行動原理は予想がつきませんでした。生き方が不器用すぎて実に紛らわしい方で。

シリアスなんだかコミカルなんだか、という興味深い結末へと落ち着いた今回の騒動。
陰陽道に対する知識の欠如を悔いて“史緒佳”にご教示願う“芹”の逞しさは健在で
ありながら“鷹雄”が指摘した彼女に対するある事実が今後どう影響するか注目です。

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2020年08月12日

『魔王学院の不適合者7 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜』

TVアニメが放送開始を迎えた、秋 先生が贈る「小説家になろう」投稿作の書籍化作品。
第7巻は地底世界を支える礎となる悲劇の預言を前に“アノス”たちが全力で抗います。
(イラスト:しずまよしのり 先生)

https://dengekibunko.jp/product/maougakuin/322003000242.html
https://maohgakuin.com/


未来を見る神眼をもつ“ナフタ”が告げる世界終焉の預言。“ディードリッヒ”は抗い
“アノス”を頼り、“シルヴィア”は強さを求め愛を捨て、“ヴィアフレア”は運命を
呪い神を否定する。それぞれの強い想いが交錯する様子が鮮烈で、接戦で、切なくて。

十万分の一という可能性を否定せず、自らその手に掴もうとする“アノス”の力強さ。
預言が進行していく中で“アルカナ”が見せる葛藤、言動の数々もこれまでの経緯が
あるゆえに印象深い。中でも“アヒデ”に下した決断には胸を打つものがありました。

それにしても「ファンユニオン」がここまで世界を救うための鍵になるとは驚きです。
酒杯竜戦の件もそうですけど、真面目なのか茶化しているのか分からないのも面白い。
皆が思い描く希望の未来へと辿り着けることを願いつつ、次巻の刊行を待つ次第です。

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2020年08月11日

『EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩のウハウハザブーン〈下〉』

川上稔 先生が贈る、とある惑星の天地創造物語。2話下巻は奥多摩のキャンプ地で水妖
出現の謎とオリンポス勢力の介入に臨みながら“住良木”たちがバカンスを堪能します。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))

https://dengekibunko.jp/product/321910000105.html


話を進めようとしてくれている“桑尻”に対してボケ倒す“住良木”とポンコツぶりに
益々磨きが掛かる“先輩”とのやり取りが終始面白い。彼女には同情するばかりですが。
“雷同”と“ビルガメス”の相対がTRPGっぽくて印象深いのはリプレイ読みだからかも。

テラフォームの課題「惑星に水を発生させる方法」は、何やら力技だったり他力本願で
進めようとしたり詰みの連続な中、まさか物事を巨乳で例えるとは思いも寄らず笑みが。
その“住良木”が要所で確信を突く発言を魅せるからこのシリーズもキャラが侮れない。

「ゲロのオッサン」こと“ネプトゥーヌス”の話からオリンポス勢力の秘策、何よりも
明かされた“木戸”の秘密には驚きの連続。彼女の言動を振り返ると確かに得心のいく
結末で、“先輩”にとって新たな試練かも知れないと思いつつ、次なる一手に注目です。

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2020年08月10日

『モンスター娘のお医者さん8』

TVアニメが放映を開始し、木村光博 先生によるスピンオフ・コミカライズもスタートした
折口良乃 先生のモン娘診察奮闘記。第8巻は“グレン”の里帰りに纏わる騒動を描きます。
(イラスト:Zトン 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631373-5
https://mon-isha-anime.com/
https://comic-ryu.jp/_monisha/
https://seiga.nicovideo.jp/comic/48999?track=official_list_s1


“グレン”の故郷で暗躍する、新興宗教とは名ばかりの盗賊集団。“アラーニャ”がその
一味と結びつきがあるのではないか、と彼の父から結婚に反対する理由を告げられる展開。
心当たりのある彼女は諦めを見せ、絶対に認めてもらうと諦めない彼との温度差がつらい。

逆境打破の鍵を握る盗賊たちを捕まえる、“アラーニャ”だからこそ掴んだ手懸りを境に
彼女が“グレン”と距離を取り直す顛末が、何か色々と救われる思いがしました。他人の
幸せを願うのも自由ですが彼女自身も幸福を感じてほしいと願うのは彼だけではないはず。

それにしても“サキ”の立ち回りが今回は絶妙。彼女への鍼治療、“アルルーナ”たちの
乱痴気騒ぎというか受粉行為、そしてあの接吻と生き生きとした描写は美少女文庫さんに
いつ出しても問題ない水準かと。皆で迎える春に幸あらんことを願いつつ次巻を待ちます。

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2020年08月07日

『僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場』

『出会ってひと突きで絶頂除霊!』が絶好調の 赤城大空 先生が贈る新作は、婚期に焦る
最強の女戦士、女魔導師、女邪法聖職者が「若いツバメ」育成を計画する顛末を描きます。
(イラスト:タジマ粒子 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518597


有数のS級冒険者にして美貌をもつ3女傑、“リオーネ”“リュドミラ”“テロメア”。
「歩く天災」とも揶揄される強さ故に、3人に釣り合う男がなかなか見つからず幾年月。
冒険者学校に勇者の末裔が入学すると聞き、自分好みの男に育てることを目論むが──。

物語の鍵を握るのは勇者の末裔ではなく、レベル0でスキル0、「0点クロス」と侮蔑
される少年“クロス”。憧れの“エリシア”を目指し、努力を重ねるがいつも報われず、
天から授かった職業も「無職」と14歳にして人生お先真っ暗。容赦ない設定が心苦しい。

そんな“クロス”が3女傑の目に留まって、彼女たちの指導に応え、その思惑を超えて
強くなっていく過程が熱い。努力が報われるのは嬉しいものです。3女傑の毒牙以外に
“ジゼル”も含めたフラグの育ち具合も気になる本作、続きが気になるシリーズです。

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2020年08月06日

『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? 7時間目』

さがら総 先生が贈る年の差ラブコメ。第7巻は書くべき物語を完成させた“天神”に対し
「面白いかどうか」以前に「出版できるかどうか」を問う編集者の視線が突き刺さります。
(イラスト:ももこ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/oshiego-kyohaku/321912000701.html


感染症に罹患した“志辺里”に代わり、担当を受け持つ編集部のスーパーエース“久堂”。
彼女がお墨付きを出した作品に対して、彼が“天神”へ告げた言葉の一つ一つが世知辛い。
何より今巻の鍵を握る、“星花”に「天出太郎」であることを隠している指摘が胸に痛い。

まずSNSの活用、動画配信で活路を見い出す“天神”。彼の日常生活を支える“冬燕”の
彼に対する固執ぶりがまず印象深い。そして「気持ち悪い」やり方と言われても、彼女の
悔し涙を見ても、物語を「読者の心に触れるための道具」と再認識した彼の強さも同様に。

事案モノの顛末がある一方、“楓”と“凛”の睦まじい様子に心温める場面もありました。
プロローグ「堕落世界」が今巻の内容を代表するかのような意味合いを示していたのに
対してエピローグの意味するところは重く、「彼女」はどう受け止めるのか、見守ります。

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2020年08月05日

『このぬくもりを君と呼ぶんだ』

悠木りん 先生の「第14回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。地下都市を作り移住
を余儀なくされた人類の「地上に似た世界」にてリアルを渇望する少女の葛藤を描きます。
(イラスト:仲谷鳰 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518542


空も食物も人間関係すらも。偽物だらけの日常にウンザリし本物に憧れを抱く“レニー”。
サボり仲間の“トーカ”と共に学校を抜け出してはリアル探しに明け暮れる彼女がある日
一瞬赤く燃えた不思議な玉を手にする。太陽のような温もりをもう一度と願う彼女は──。

“レニー”が「太陽の欠片」と名付けた玉をきっかけに、太陽に憧れる人々の主義主張が、
地下都市に移住した際に出来た人々の軋轢が、“トーカ”とのかけがえのないつながりを
嘘に嘘を重ねて塗りつぶしていくのが、偽りのぬくもりを頼ってしまう彼女がもどかしい。

「太陽の欠片」に踊らされて何がフェイクで、何がリアルなのかを見誤りかけた“レニー”
を“トーカ”が命懸けで救いにかかる場面は胸熱くなるものが。仲谷鳰 先生の巻末漫画で
2人の後日譚を描く構成も攻めの構成で、未来に希望を感じさせるまとめ方でありました。

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2020年08月04日

『女子高生同士がまた恋に落ちるかもしれない話。』

「メディアワークス文庫」で作品を出す 杜奏みなや 先生が「電撃文庫」から贈る新作は
幼いころに助けてくれた女の子との再会から始まる、女の子同士の初恋やり直し物語です。
(イラスト:小奈きなこ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/koi_ochi/321909000026.html


寮生活を送る“愛梨咲”は、風呂が壊れたため別の寮に相部屋することに。雨の日に移動
する道すがら、彼女は傘も差さず虚空に手を伸ばす少女に目を奪われる。その少女が共に
生活する相手“佑月”で、“愛梨咲”に対して何やら思う所ある言動を見せるのだが──。

星が好き、という共通項を持つ“愛梨咲”と“佑月”。そこからさらに2人を結びつける
ある昔話に繋がることから互いに意識し合う関係へと変化する機微がこそばゆいというか
初々しいというか。ただし「好き」というよりは「敬愛」に近いような印象を受けました。

2人出会ったことで、互いに掛けた言葉に支えられて、欠けたと思っていた大切な何かが
自分の中にあることに気づいて、相手を「すごい」と認めることができて、そして大切な
今がある。星が結んだ絆の尊さを見守りたくなります。続刊も決まったようで楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 01:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル